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-chapter1- タケミカヅチ
「宇宙、これが宇宙……」
 通路の窓から外を眺め、黒髪の少年は呆然と呟いた。いつか船に乗りたい、そう思って連邦大学付属高校に入って数ヶ月。早くもその願いが叶うとは思わなかった。興奮も混乱も通り越して、今はただ自分の運命に呆れ返っている。連邦軍の中でも屈指の最新艦と言われるタケミカヅチ。その中へ収容され、今こうして宇宙を見ているのだ。
「正確には地底宇宙(インナーユニバース)よ。いわゆる黄泉、わたしたちの敵の陣地の中だから、気を抜かないでね」
 隣に立つ亜麻色の長髪の女性が言った。
「あ、はい……」
 少年はその顔を少し見つめ、また窓へ視線を戻した。目をやるといつまでも見つめてしまいそうだったからだ。綺麗とか美しいとか、そう言う言葉では言い表せない女の魅力を湛えた女性。ふっくらした頬からすっと絞られた顎に渡る絶妙な輪郭や、大きくて落ち着いた雰囲気を放つ眼、顔の中心で整っている鼻梁など、全てが今まで会ったどんな女性をも超越していた。
 つい数時間前この人に会った時、運命が変わったのだ。女性は連邦軍高速駆逐艦タケミカヅチ艦長、サクヤ=シノと名乗った。少年は名乗られる前から知っていた。若干20歳にして類まれな才能を持ち、新型駆逐艦の艦長を任された女性。その雲の上の人が、自分にあるなんらかの才能を見抜き、突然船へと誘ったのだ。身震いするような出来事だった。乗艦してからまだ1時間、いまだにそのことが信じられない。
「それじゃ、わたしは仕事に戻るから、あとの説明は他の人に受けておいてね。確か、今キリエがオフだったから、彼女に任せておくわ。ああ、そうだ」
 と、サクヤ艦長は小脇に抱えたクリッブボードから、一枚の紙を抜き取った。
「これがあなたの配属と階級。急ごしらえだからちょっと粗末だけど、がまんして。じゃあ、あとでね」
「わかりました」
 少年は返事をした。サクヤがきびすと返すと、通信機で何事か連絡を取りながら廊下を歩み去っていく。相当に多忙らしい。少年は連邦軍のスーツに身を包んだその後姿を、消えるまで眺めてから、手もとの紙へ視線を落とした。そこにはこう書かれてあった。
『シトゥリ・レイヤー(15歳)男、砲手補助兼操舵手補助配属、3等兵卒』
 なんだか適当だな、と言うのが第一印象だった。
「ハーイ」
 じっと書類を眺めていると、廊下の向こうから声がかかった。顔を向けると、銀髪の女性が壁にもたれて片手を挙げていた。思わず片手を挙げ返す。
「あなたがシトゥリくんね。こっちいらっしゃいな」
 そう言って手招きした女性は、すらっとした長身のスレンダーな体型だった。同じ連邦のスーツでも、まったくサクヤとは印象が違って見える。近づいて見ると、スカートから伸びる足は細いながらかなり引き締まっていた。なにかスポーツをやっているのだろうか。視線を上に上げると、意外なほど豊かな胸が目に入って、シトゥリは少しどぎまぎした。
「ふーん」
 前に立つと、女性はシトゥリの上から下までじーっと目をやった。さらにどぎまぎして、何か言い返そうとした時、女性はすっと片手を出した。
「あたしキリエ。この艦の砲手をやってるわ。あなたは砲手補助だから、直属の上司はあたしってことになるわね。よろしく」
「よろしくおねがいします」
 シトゥリは手を握り返した。かっちりしたサクヤと違ってずいぶんラフな女性だ。こういう人が上司の方が助かるかもしれない。澄んだ声のせいかもっと大人に見えたが、歳はサクヤと同じくらいのようだ。そんなに背の高くないシトゥリより、10センチほど上背がある。
「で、あなたにレクチャーしろって言われたんだけど、そういうのって苦手なのよね。サクヤもわかってるくせに……」
 手を離し、キリエは頭の後ろを掻いた。そして少し腰をかがめ、顔をシトゥリに近づけると、にっこり笑った。
「でもま、こんなカワイイ子を部下に貰ったんだから、感謝しなくちゃね」
 笑うとちょっと目じりが下がって、妙に艶のある表情になる。シトゥリは急に早くなった心臓をごまかすように、なんとか笑い返した。
 ついてきて、と言って歩き始めたキリエの後ろを歩きながら、シトゥリはきょろきょろと周りを見回した。廊下から垣間見えるすべてが真新しい。
「この艦は新型と言うより試作型の駆逐艦だって言うのは聞いたことがあると思うけど、数年前発掘された最古の文書の技術を解読した粋を集めてあるわ。全長は300メートルちょいだけど、ほとんどが言霊制御によって自動化、省スペース化されてるから、見かけの割りに大出力で居住空間も充実してるのが特徴ね」
 とりあえずと言った感じでキリエが説明をしている。その程度の概略であればシトゥリも知っていた。たしか特殊なバリアを2種類装備していて、1つを防御用に展開しつつ、もう一つを剣状に前面に突き出して、高速で体当たりすると言う無茶な攻撃方法が可能な艦だったはずだ。
「で、ここからが居住区。一番端のこの部屋があたしの部屋で、その向かいがあなたの部屋になるわ。連邦規定で非常鍵以外に扉のロックはないけど、寝顔を見に来るのはやめてよね」
「は、はい」
「じょーだんよ。赤くなっちゃって。とりあえずあなたの部屋はまだ使えないから、あたしの部屋に入っておいて」
 どうも調子を狂わされっぱなしだ。シトゥリはあとについてキリエの部屋の中に入った。
中は想像以上に広く、連邦の寮よりも相当手が入った造りだった。照明や家具も洗練されている。キリエの人柄を表しているのか、その他は実用的なものが並んでいるのみだったが、殺風景な印象はまるでない。入り口で半分呆けていると、キリエが言った。
「そこ、ソファしかないけど座っておいて。何か飲む?」
「え、いえ。いいです」
「そう、遠慮しないでよー。あ、着替えるからこっち見ないでね」
 その言葉に面食らって思わずシトゥリは奥のクローゼットに向かったキリエに目をやると、こちらなど気にした様子も無くすでに上着を半分脱いでいた。あわてて視線をそらし、足早にソファへ向かって腰掛ける。こういう状況に慣れていないせいか、緊張で心臓の音が聞こえそうなほど鳴っていた。
「どうも制服ってのは気が詰まって好きじゃないわ」
 しばらくすると、キリエはボトルとグラスをテーブルに置き、隣に腰掛けた。シトゥリは息を吐いて肩の力を抜く努力をしたが、キリエの姿を見て再び緊張した。スーツの中に着ていたのだろうか、上半身は濃いブラウンのキャミソール一枚で、胸の半ばまでが露出し、ブラジャーのラインもくっきり出ている。豊かな谷間に銀色の髪がぱらぱらと散っているのを見た瞬間、シトゥリは別の場所が急激に緊張するのを感じて身をこわばらせた。
「悪いけど、照明落とすわよ。あたしこれから寝るから。昨日は夜勤だったのよね」
 隣のシトゥリの様子など意に介した様子もなく、キリエはリモコンを取ると照明をお互いの顔が見えるかどうかまで落とした。ボトルを開け、中身をグラスに注いで口をつける。芳醇な香りがシトゥリの鼻に届いた。これ以上ここに居たら不純な欲望がばれてしまいそうな気がして、シトゥリは口を開いた。
「僕の部屋、いつ使えるようになるんですか?」
「さあ?今掃除してると思うから、そろそろじゃない。それより、自分のこと、僕って言うのね。普段から?」
「ええ、はい」
「ふふ、そう言うの好きよ。俺って言うのは相手を見下した時に使う二人称だから、あまりよくないわ」
「そうなんですか」
 グラスを持ったまま、じっとキリエが見つめてくる。どこを見たらいいか分からなくて、シトゥリは部屋の中を見回す振りをした。ぐっと呷ってグラスを開けてから、キリエが言った。
「まだ、緊張してるわね。急な話だったから仕方ないか。なんにも説明しないままでこんなこと聞くのは悪いけど、やっていけそう?」
「自分に出来ることがどれくらいかわかりませんけど、それ以上の努力をする覚悟できました。船に乗ることは、僕の夢だったので」
「そう。あなた、歳の割にはしっかりしてるわね。そのうちあなたがこの艦に乗っている意味も分かってくると思うけど、たぶん大丈夫よ」
 キリエは言いながら2杯目を注ぎ、それも一気に飲み干した。その手元を見ていると、キリエはグラスを振った。
「飲む?」
「……未成年ですよ」
「つまーんないの。ま、いい男を隣においておいしい酒を飲めるのは、幸せよねぇ」
「あの、もう酔ってませんか……?」
「馬鹿言わないでよ」
 3杯目もすぐに小ぶりな口元へ消えた。シトゥリはボトルの表示に目をやって驚いた。アルコールのことは良く分からないが、水みたいに飲むような度数ではないはずだ。
「あの……」
「部屋が出来るまでと思って少し付き合って。この艦、女ばっかりだから男日照りなのよ。今年でまだハタチだってのにまいっちゃうわまったく」
「え、女の人ばっかりなんですか?」
「そうよ。知らなかった?あなた以外の4人は全員女。ハーレムだねーってちゃかしたいところだけど、……」
 キリエは言葉を切ってまたグラスを呷った。肩をすくめ、続ける。
「サクヤもあとの二人も一筋縄じゃいかないわね。まともなのはあたしだけよー?覚えといて」
 ぐっと身を乗り出して、キリエはシトゥリの鼻先に指を突きつけた。胸元が強調されて、せっかく下がっていた血液が再び戻り始める。体が触れないように少し仰け反りながらなんとか返事をした。
「は、はい」
「特にあとの二人はレズだから気をつけて」
「れ、れず」
「そうよー。シリンちゃんはまともなんだけど、クラがねえ……。あたしに目をつけてるらしくて、やたら体とか触ってくるし。浴場とかでも」
「よ、よくじょう」
「何?」
「いえ」
 キリエはやっと体を離したと思うと、じっとシトゥリの全身を眺めた。ふいに、にやっと笑うと、グラスをテーブルに置いた。
「もしかして、こういう話ダメ?」
「そんなわけじゃ、ないんですけど……。女の人とは」
「あらあらうれしい。あたしのことはちゃんと女って言う認識なのね」
 何がおかしいのか腕を口元に当ててくすくす笑い出す。キリエは足を膝までソファに乗せていた。下は制服のスカートのままかと思っていたのだが、上のキャミソールとセットの丈の短い夜着のようだった。暗い照明が、かえって太腿の白さを艶めかしく見せている。口の中が乾いているのに気付いて、お茶でも頼めばよかったとシトゥリは後悔した。
「ねぇ、二人とも勤務中じゃないんだから、もっとリラックスしてもいいのよ。ここじゃ階級なんて気にする人間は居ないし、みんな友達であると同時に同僚であり、戦友であるの。オフの時は肩肘張らないで付き合ってよね」
「あ、はい……」
 勤務中とか勤務外とか、それ以前にキリエとは歳が離れていたし、何より初対面だ。緊張するなと言う方が無理な上に、いきなり部屋に入れて半裸に近い格好で酒を飲んでいる美女を横に、体に力を入れるなと言うのも無理だった。まともなのは自分だけ、と言っていたが、他の人間に聞けば違う答えが返ってくるのは明白だろう。
「喉渇いてるでしょ。声が擦れてるわ。待ってて、アルコール入ってないもの取ってくる」
「あ、お願いしま――」
 ソファから立ち上がったキリエが、一歩歩いてバランスを崩し、シトゥリの後ろの背もたれに手を当てた。何がおかしいのか、またキリエはくすくす笑っている。
「少しはしゃいで飲み過ぎたみたい。一気に飲むと一気に回ってくるわね」
「そ、そうですか」
 自分でも上ずっているのが分かる声だった。キリエの手はシトゥリの耳の横にあった。ほとんど覆いかぶさるような形だ。目の前10センチのところに、柔らかそうな胸が揺れている。シトゥリはほとんど思考が止まったまま、それを呆と見つめていた。キリエの手がもう片方の耳の横に当てられた。はっと気付いた時には動こうにもキリエの体に触れずには動けない状況になっていた。何か言おうにも言葉が出ない。あせくっているうちに、キリエはシトゥリの膝をまたいで、その上に腰掛けた。しっとりとした重さとじかに肌が触れている感触が、どうしようもなく下半身を熱くさせる。
 いつの間にかまじめな表情になっているキリエの顔が近づいてきた。唇が重なる直前まで何が起こっているのか理解できなかったシトゥリは、慌てて目をぎゅっと閉じた。濡れた柔らかいものが軽く押し付けられて離れ、首筋に回る。キリエがそっと囁いた。先ほどまでの快活に澄んだ声とは違う、ぞくぞくするような擦れを帯びた声だった。
「……誰とでもこんなことする女だって思わないでね」
「は、はい」
「上司として最初の命令です。あたしを抱きなさい」
「――はい」
 キリエがソファの脇に手を伸ばしてスイッチを押し、背もたれを倒した。のしかかってきたキリエの腰が、シトゥリの固くなったものに押し付けられる。その感触に、思わず呻いた。
「……重い?」
「いえ、そんなわけじゃ……」
「こういうこと、したことある?」
「……中学時代に、少し」
「へえ、意外」
 キリエがひじをついて体を起こした。シトゥリの体をまたぎ直して、その頬に手を当てる。
「カワイイ顔して、やることやってんのね。じゃあ、今も好きなコとかいるの?」
「別に、そう言うのは……。昔からあまり、恋愛とかしたことないので。でも今は、キリエさんが好きかな」
「バーカ」
 照れたように笑って、キリエがシトゥリの胸に顔を押し付けた。
「けっこう言うのね。もっとおとなしいのかと思ってたわ」
「幻滅ですか」
 シトゥリは苦笑した。
「人の意外性を知るのは好きよ。特にあなたみたいな、叩いても埃の出ないタイプのは。……今日はサービスしたげる。中学生じゃ味わえないこととか、ね。脱いで」
 キリエが身を離し、シトゥリは上半身を起こしてシャツのボタンをはずした。さっきまでがちがちに力の入っていた体も、ここまで来たら度胸が据わったのか、リラックスしている。それよりも、『サービス』に期待している自分に、シトゥリは少し呆れた。
シャツを脱いでキリエを見ると、ちょうどキャミソールを脱いでブラジャーをはずすところだった。シトゥリの視線に気付いて、前を片手で隠し、紐だけ腕から抜く。腕で覆いきれない胸の肉と、外れて垂れ下がるブラシャーの紐が、ひどくエロチックだった。これが大人の魅力ってやつか、とシトゥリは変な納得をした。弄うように見せ付けてから、キリエは手を離した。零れ落ちるように白い果実が二つ、目の前に現れた。それはなんの補助が無くても瑞々しい張りを保って、桜色の突起を頂点に、ぴんと宙を向いていた。
「……そんなに見ないでよ」
 言われて、まじまじと見つめていた自分に気付き、シトゥリは動揺した。
「いや、あの、すごいですね」
「でしょ」
 訳の分からない言葉を気にした様子も無く、キリエはシトゥリのベルトに手をかけた。はずし方も手馴れている。少し腰を浮かすと、トランクスごと指をかけて、キリエは一気に足元まで引きおろした。固く屹立したものが飛び出し、それを見てキリエが息を呑んだ。
「え、ウソ。何、すごい……」
「何って……言われても」
 シトゥリは頭の後ろを掻いた。自分のイチモツは普通のより大きいらしい。キリエは違う感想を持ったようだった。
「なんか、惚れ惚れするようないい形ね。両手で握ってもカリが余るわ……。こんなヤサ顔のくせして」
「あの、恥ずかしい……ですから、そんなこと言われると」
「ふふ……あ、やだ。見てるだけで濡れてきちゃった。ねぇ、もう少しこっちへ座って」
 キリエはシトゥリをソファの淵に座らせると、自分はその前の床に膝を付いた。両足を開かせ、その間に体を入れると、天を仰いでいるシトゥリのモノを胸でぎゅっと挟み込んだ。あまりの柔らかさと不思議な感触に、シトゥリは思わず声が出た。
「うわ」
「どう?パイズリなんて中学生なんかには出来ないわよ」
 そう言って2,3度しごくように胸を揺らす。それだけで背骨の下から脳髄に向かって、白い快感の筋が駆け上がった。シトゥリのモノは胸に隠れ、カリの先端だけが見えている。その手の雑誌でしか見たことがない刺激的な光景を、自分自身が享受していると思うと、それだけでもう達しそうだった。
「ああ……すごい、びくびくって動いて……先から汁がこんなに」
 キリエも興奮してきたようだった。腹にかかる吐息が熱い。顎を引き、溢れ出した先走りの液を舌で舐め取る。ゆっくりとこねるように胸を動かしながら、チロチロと尿道口をそのまま刺激し始めた。シトゥリは息を荒げて仰け反った。眉をしかめて目を閉じる。視覚の刺激が入ると耐えられそうに無かった。唾液と先走りの液が交じり合ったものが谷間に流れ込み、潤滑を滑らかにしていく。ほとんど思考の止まった頭に、股間から快楽の塊が押し込まれてきて、シトゥリは焦って言った。
「ちょ、すいません、あの」
「出して」
 それだけ言うと、キリエは口を離し、激しく上下に胸を揺らし始めた。くちゅくちゅと摩擦で音が響く。ほとんど限界だったシトゥリは、耐えようとしたが無駄な努力だった。閃光で叩かれたように後頭部から真っ白になり、腰と足を痙攣させて射精した。
「あン」
 最初の1撃は顎に当たって胸に飛び散り、キリエが胸を離して手で竿を握ろうとしたため、2撃目はその顔を汚した。
「飲んであげるね」
 手で絞るようにしごきながら、キリエが丸くすぼめた口を先端に当てた。その喉がごくごくと何度も動いた。それを半ば放心しつつ見つめながら、ようやくシトゥリは射精し終わった。我ながら人生最大の量だったのではないかと思った。急激な収縮で睾丸がきしむように痛い。
 ふー、と息をつき、満足そうに萎れたモノを撫でながら、キリエは言った。
「若いっていいわねぇ。どうだった?」
「はい、すごく……」
「あ、ちょっとさっきのセリフ、おばさんっぽかったかな。ナシね、ナシ」
 苦笑しながらソファの上にキリエが上ってきて、下半身を覆っていたものを取り去った。淡い色の茂みが薄明かりの中に浮かび上がる。シトゥリの手を取り、キリエはそこへ導いた。
「ね、触ってみて。あたし、もう……」
 触れる前から、太腿にまで滴っているのが分かった。逆向きの泉のようだ。シトゥリの手を重ね、キリエが蜜壺の上をなどる。溢れた蜜が手のひらに粘りついた。キリエは自分の人差し指と、シトゥリの人差し指を重ねると、その2本を蜜壺の中へ差し入れた。
「あ……は……。どう、あたしの中」
 キリエの指と、シトゥリの指が絡み合いながら、熱い坩堝の中をかき回す。キリエの呼吸が深く荒いものに変わった。
「あ……これ、けっこう興奮するかも。一緒にこの中、いじって……ああっ」
 びく、とキリエが背を仰け反らせた。滴った蜜はシトゥリの手首までを濡らしている。キリエの中は襞が複雑に入り組んでいて、生き物のようにうねりを帯びていた。入り口から少しのところにある丘のような場所を押すと、その度にキリエはぴくりと反応した。
「そこ、ダメ。弱いの。あなた、もう弱点探り当てるなんて、才能あるんじゃないの?」
 切れ切れに息を吐きながら、キリエがもう片手をシトゥリの首に回し、唇を重ねた。そのまま後ろに押し倒す。反動で指が抜け、ああ、とキリエは息をついた。
「もうちょっと手玉に取るつもりだったのに。もー、癪だから、とっておきのでイカせたげるわ」
 シトゥリの上に馬乗りになったキリエは、すでに復活しているイチモツを手に取ると、その上へゆっくりと腰を降ろしていった。熱いぬるぬるしたものに食べられているような錯覚を覚える。襞がいくつもいくつも絡み付いては根元へと流れて行き、こらえきれずにシトゥリは声を漏らした。
「あ、あぁ……」
 根元まで飲み込まれたイチモツの先端が、ちょうどキリエの奥の壁に刺さっている。突然、ぎゅっと根元から締まって、シトゥリは驚いた。
「えっ?」
「締まるでしょ。あたしの特技よ。……ほら、中でしごいてあげる」
 根元から先端へと、締まりの圧力が移動して行き、本当に膣の中でしごかれている感覚だ。まるで襞が沢山付いた手のひらで握られているようだった。
「あ……すごい、とっても固くなったわ。それでね、次はこうするの。目を閉じて」
 キリエの両手がシトゥリの耳を塞ぐ。目を閉じていると、唇が押し付けられ、歯の間を割って舌がねっとりと侵入してきた。シトゥリの舌の根元から歯の裏、天井までくまなく嘗め回される。そうするうちに、頭の後ろからじんじんとしたものが広がってきた。耳と目の感覚が無いためだろうか、その分触感が鋭敏化されて、シトゥリの息は荒くなった。その瞬間、下半身のイチモツがぎゅっと膣の圧力で絞られる。思わず首が仰け反りそうになったが、キリエの手と口でしっかり固定されていて全く身動きが取れない。引き絞られる膣の動きに合わせて、自由になる腰が自然と動いていた。耳を塞がれているため、ぺちゃぺちゃと言う舌の音が直接頭の中へ響いている。それは堪らない感覚だった。突然射精感が下半身から流れ、シトゥリは呻いた。
「ん、んー!」
 出る、と言いたかったが、口を塞がれて呻き声にしかならない。キリエの膣が強く絞られた瞬間、シトゥリはその中へ思いっきりぶちまけていた。
「ああ、出てる……」
 口を離し、馬乗りのままシトゥリの頬を撫で、感じ入ったようにキリエが言った。その間も貪欲な生き物のようにキリエの膣は竿をしごき続け、最後の一滴まで搾り取ろうとする。
「あたし、腰を動かしてないのにイっちゃったねー。すごくイイでしょ、ここ」
 とろんとした目でキリエは股間に手を遣り、溢れた精液を指ですくい取って、舐めた。その表情を見た瞬間、シトゥリの頭に熱いものが爆発した。体を起こすと、今度はキリエを押し倒す。
「え?ちょっと」
「次は、キリエさんが気持ちよくなってくださいね」
 足を抱え上げ、腰と腰がぶつかりそうなほど中へと挿入する。突然のことに、キリエは身をよじった。
「あーっ!ちょ、ちょっと待って。待ってってば」
 シトゥリは取り合わず、そのまま腰を振り続ける。肌がぶつかり合う音に、溢れ出した精液の残滓がはじける音が混じった。
「どうして、さっき出したのに、元気なままなの、あ、あ、あ、ん~!」
 キリエの足を肩に乗せ、その腰を浮かせる体勢にすると、シトゥリのモノがキリエのGスポットを直撃する形になった。折れそうなほど体を横に反らし、キリエがソファのシーツを握り締めた。
「ダメ、ダメよ、あ、いい!いいっ、イク、イクイクイクってばちょっとぉ!」
 抱えあげた足が宙を掻いた。痙攣にキリエの上半身が踊る。シトゥリはそれでも腰を休めなかった。さらに激しく膣の中をえぐっていく。
「いやっ、もう、お願い、勘弁して、あ、あ、あ、イっちゃったのにぃ!激しすぎ、る!」
「もっと、僕よりイってください!」
「え、そんな、ああ、あ、ダメ、また来そう、やだぁ!ちょっとあたし、おかしい、わ、ぁぁあああああああっ!」
 絶叫を上げて再びキリエが身をよじった。必死に離れようとするキリエの腰を掴み、シトゥリはそれを後ろ向きに裏返した。脱力していたキリエはおとなしく獣の体勢になる。四つん這いになると、溢れ出した愛液がぱたぱたとソファへ滴った。シトゥリは体勢が整うと、すぐ腰を打ちつけた。キリエがまた悲鳴のような声を発する。
「ああ、あ!奥に、奥にくる、貫かれちゃう!そこ、やぁ、あ、あ、あ」
 振動でその声が震えた。思うさま後ろから突きながら、シトゥリは再び射精感が高まってくるのを感じた。柔らかい尻の肉を握り締め、叫ぶ。
「出しても、いいですか!」
「いい、いいわ!出してぇ、出して!」
「――っ!」
 キリエの中がぎゅっと収縮すると同時に、声にならない呻きをあげて、シトゥリは放った。キリエも同時に達したらしく、うつ伏せた頭と肩がびくびくと震えていた。十分に出し終え、腰を引くと、お互いの液体が交じり合ったものが滝のように溢れ出し、下へ流れていった。支えを失うと、ぐったりとキリエは横倒しに倒れた。乱れた髪が顔を覆っているのを払おうともせず、息を荒げている。シトゥリはその髪をかき上げ、呼びかけた。
「キリエさん?」
 気を失ったのだろうか、目を開ける気配は無い。急激に冷静になっていく思考を、あまり考えないように止めつつ、シトゥリは服を身に付け、ソファの汚れを軽く取ってから、ベッドから持ってきた毛布をキリエにかけた。寝息は穏やかだ。そろそろ自分の部屋も入れるだろう。移った方がいいに違いない。とんでもないことになったとぐるぐる考えながら、シトゥリは部屋を後にした。


 ドアの閉まる空気圧搾音が響くと、キリエはパチ、と目を開けた。
「これでなんとか、緊張も解けたみたいね。こんなことでしか打ち解けさせられないあたしも、不器用なもんだけど」
 ふ、と笑う。
「でも気持ちよかったからいいか。あんなにすごいなんて、人は外見と年齢に寄らないわ。これから楽しくなりそうね……」
 股間に手を遣ると、まだ濡れているそこは敏感に反応した。キリエは笑みを苦笑に変える。
「あれだけされたのに、まだ欲しがってる……あ」
 クリトリスを転がし、胸をもみしだきながら、荒くなっていく呼吸の中、キリエはうわごとのように呟いた。
「シトゥリ・レイヤー。彼が、この艦のバリアシステムを操り得るただ一人の人間だなんて――」
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