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朱ノ青 その7
 愕然としてアゲハが上半身を起こすと、なんと足元にツバキ本人が正座していた。
「あ……あ……」
 絶句して口をパクパクしているアゲハに向けてにっこりと微笑み、
「お邪魔でしたかしら」
「いや……あの……これは」
 よく見るとツバキは着物姿ではない。着物の下につける白く薄い湯文字だけまとっていた。
 水浴びをしてきたのか、肌の水分を吸って湯文字はぴたりと張り付き、身体の線や陰影、乳首の桜色までが露わになっている。
 まだ熱が篭っているのか、頬は傍目にわかるくらい上気していた。
「ボ、ボク……違うんだ、えと……」
 アゲハは自分でなにをいっているのかわからないほど動揺している。そそり立った男根を隠すことも忘れていた。
「あら、違うんですか? てっきり、わたくしのことを想いながら自慰に没頭していらっしゃると思いましたのに」
「そ、それは……その」
「ねえ、正直におっしゃって。お兄様、わたくしを想像いたしましたでしょう?」
 つい、と寄ってきたツバキが身体を密着させる。
 そのやわらかさがまたしても血を滾らせてしまう。
 アゲハは観念してうなずいた。
「……うん」
「うふふ。うれしい。実はわたくしも、水浴びの間、お兄様を想って自分を慰めていたのですよ。証拠に――ほら、ここはもうこんなに」
 股間へやった手を引き戻すと、ツバキの指先にはどろりと白い液体が絡み付いていた。
 透明なさらさらしたものではない。白くにごった粘性の愛液は、相当感じないと出てこないものだと、アゲハも知っている。
「お兄様……わたくし……」
 粘液で濡れた手を、ツバキは男根へ添えてくる。
 触れられた途端、剛直はその硬さと相反する敏感さで、ビクンッと震えた。
「へ……変だよ、ツバキちゃん。そんな……うっ……こと……」
「変なのはお兄様も同じですわ。わたくしを襲いたくて仕方ないんでしょう?」
 しゅっしゅっと上下にこすり立てつつ、耳元へ息を吹きかけるようにして訊ねる。
「ち、ちがう……よ……ボク」
「あら、そうですか。でも嘘はいけませんよ」
 つかんだ一物を下から上までつぅっと撫で上げ、亀頭を揉み解すようにこねる。
 愛液によってぬるぬるの手でこすられ、アゲハの理性はあっけなく陥落した。
「んっ、はぁ……。ご、ごめんなさい。……襲いたい、ツバキちゃん。ボク……」
「うれしいですわ。でもね、ダメなのです。わたくしたちは兄妹。そういうことはいけませんの」
「そんなぁ……」
「ふふ。子犬のような眼をなさらないで。代わりに別の方法でお慰めいたしますから」
 ツバキは艶然と微笑んで、身をかがめた。
 鈴口から垂れ出した先走り汁と愛液でねとねとになった男根に、ツバキはちゅっとくちびるをつける。
「あっ!」
 アゲハは男根だけでなく、腰までも震わせた。
「わたくし、耳年寄りなのです。女ばかりに囲まれて暮らして参りましたけど、年頃の娘たちは案外、殿方が思うよりもいやらしい話をするのですよ」
「そうなの?」
「アゲハさんにはよくわからないお話でしたね。だから……こういうことも、わたくしちゃんと知っておりますのよ」
 ぬるっとした口腔へ亀頭が吸い込まれる。
 たどたどしいながらも舌を使い、歯が当たらないようにしてくれていた。
「あう……あ……」
 短い喘ぎを放って、アゲハは畳へ後ろ手をつき、腰を突き出すようにして上体を支えた。
 ツバキが横合いから回り込んできて、アゲハが入りやすいように股を広げると、そこに身体を収めた。
 本格的に股間へうずめた顔が上下しはじめる。
「あ……はん……あぁ……いい……いいよツバキちゃん……」
「じゅる……ちゅ……ほうですか? わたくひの口は……れるっ……ひもちいいですか?」
「うん……いい……すごい、蕩けちゃいそう……」
 技巧に長けているユキとは比べるくもない口淫だったが、逆にその初々しさが興奮を呼び起こしてくる。
 なにより、男根を含んでいるのはけっして肌を重ねてはいけないはずの相手……自分の妹なのだ。それも、双子の……。
「お兄様、先っぽの方から、透明なお汁が溢れてきてます……これ……とってもおいしい……ネバネバが口の中に広がっていきますわ……」
 一端口を離し、ツバキは手を使って竿をしごきつつ、もう片手を鈴口に当てて先走り汁を指先につけた。
 透明な糸が亀頭と指とをつないで長く垂れる。それを伸ばした舌ですくい取った。
「ああ……。お兄様の味……。もっとしっかり覚えないと。わたくしの舌がいつでもお兄様の味を思い出せるように……。んっ、ふぅ……はむ……ちゅる……」
 ツバキはどんどん溢れてくる透明な汁を舌先ですくいながら味わっていく。
 やがて鈴口から垂れ流されているものだけでは飽き足らなくなり、
「お兄様、この中……尿道の中にたっぷりお汁がつまっていらっしゃるのでしょう? 吸ってもよろしいですか。わたくし、もっと口の中をネバネバでいっぱいにしたいのです。ネバネバのお汁、おチンチンの中から吸い出してもよろしいですか?」
「う、うん……。吸って。ツバキちゃんの好きにしていいから……」
 上目遣いに訊かれては、アゲハもうなずくしかない。それ以前に理性が崩壊してしまっている。
「あはっ。ありがとうございます。……んふっ、はむ。……ちゅる、ちゅうううう!」
「うわ、あぁっ!!」
 鈴口にすぼめたくちびるを当てたツバキが、母乳でも吸い出すように尿道を吸引した。
 その中に溜まっていた先走り汁は勢いよく吸い出されて、まるで射精してしまったかのような放出感を覚え、アゲハはふとももをビクビクと震わせて仰け反ってしまう。
「あ、ああ、あ……。で、出ちゃ……った、わけじゃないんだ」
「うふっ、おにいひゃま、口の中がネバネバでいっふぁいになっちゃいまひた。……あは……ふぅ……すごい……んく、んく、んくっ」
 くちゅくちゅと先走りの味を堪能したツバキは、自分の唾液との混合物を何回にも分けて嚥下していく。
 その間も男根をしごく手の動きは別の意志を持っているかのようにやまない。
 おいしそうに体液を飲み下していくさまを見せ付けられたアゲハは、昂ぶりを増して男根を硬くし、さらなる分泌物を滲ませてしまう。
 目ざとくそれを見つけたツバキが、再び一物へくちびるを寄せた。
「まあ。あとからあとから出てきて……。んちゅ、ちゅる……ちゅぱっ……あ、あら? なんだか味と……色も変わってきましたわ。苦くなって、白く濁ってきたような……」
「う……ひょっとしたら、気持ちよすぎて精子が混じっちゃってるのかも……」
「この中に、お兄様の子種が? ……素敵……」
 うっとりと表情を蕩かせて、ツバキは熱心に口淫を再開する。
「ちゅぱ……ちゅる……じゅ……ごめんなはいね、おにいひゃま。……んふ……ちゅ……本当なら、わたくしの下の口で……ちゅぱ……ここから出るものを受け止めてあげたひのれすが……」
「ううん。いくらボクでも、やっぱりそんなことはいけないってことくらいわかるよ。んっ……それにツバキちゃんの口、とっても気持ちいいし……」
「よかったれふ……じゅぱっ……んん……実は自信がなかったのです。お兄様を喜ばすことができるのか……。じゅるっ、じゅ、じゅっ、ちゅ……!」
「あっ、激しいよ……! そんなしたら、出ちゃう。ツバキちゃんを汚しちゃうよ……」
「まあ。パンパンに張り詰めて参りましたわ。うれしい、わたくしの舌でこんなになっちゃったのですね。もっとがんばりますわ。……ちゅ、ちゅっ、じゅるるる!」
「ああああ! 待って、ほんとに危ない、出ちゃうからあ。せ、せめて口を離してっ!」
「らめれふ、口の中にらしていたらかないと。……んっ、ふっ、ちゅ、ちゅぱっ……下の口にいただけないのなら、上の口から、しっかりお兄様の体液を取り込まないと……!」
「そ、そんな……。ほしいの? ツバキちゃん。あんっ!」
「ほしいれふ! ほしい、お兄様の精液、白いのが欲しいのれす! じゅぷっ……ちゅ……くちゅ……んふ……。出して、らしてぇ!」
「は、あう……うぅ……ボク、出ちゃ……飲ませちゃう……ツバキちゃんにボクのお汁飲ませちゃうよぉ……!」
 アゲハは腰を突き出して絶叫した。
 射精の予兆に男根がビクンビクンと大仰な動作で跳ねる。
 むしゃぶりついたツバキは当然それを離さず、逆に喉の方まで押し込むように飲み込んでしまった。
「ああう! あうっ、出る、イクイクッ! いくぅぅぅううう!!」
 果てることを宣言したアゲハが射精を開始した。
 ツバキの喉めがけて、容赦ない射精の一撃がほとばしり出る。
「んぐっ、んううううっ!?」
 男の絶頂がここまで激しいとは予想していなかったらしいツバキが、目を白黒させてそれを受け止めた。
 喉に放たれたものはそのまま食道を垂れ落ちて行き、むせそうになって男根を引き抜けば、口腔へと精液が放り込まれて、あっというまにそこもいっぱいになってしまう。
「ツバキちゃん、ツバキちゃん!」
 夢中で叫んだアゲハは、ツバキの髪をつかんで股間へ押し付けるようにした。
 もう一度喉の方まで男根を突き入れられたツバキは、目を剥いて喉奥への射精を受け入れた。
 口の中の精液はだらだらと洩れて、小さな顎を汚らしく汚していく。
「んうう、んんんんっ! んお、おぐっ!」
 ツバキもまた、身体の中が精液で犯されていく感覚に酔いしれ、全身を火照らせていった。
 無意識で伸ばした手は股間をかき回すように愛撫し、肉棒が射精の衝撃で跳ね上がるたびに、ツバキの秘所もまた愛液の塊を吐き出す。
「まだでる、まだでるよ、ツバキちゃん、たくさんでるっ!」
「んふうう、あお、おおおん! おんっ、おおお!」
 喉から食道へと白濁した欲望を流し込まれているうちに、ツバキも絶頂に達してしまった。
 白い身体が幾度も痙攣し、ビクビクとのた打ち回る。座り込んだ足先がバタバタと暴れて、畳を何度も打った。
 それがゆっくりと収まるにつれて、アゲハの射精も勢いをようやく弱め、やがて猛りきった剛直は萎えていった。
「あふっ、んん……」
 口の周りを白い液体でべとべとにして、ツバキはぐったりと畳の上に横たわる。
 アゲハは射精後の気だるさと、午後の気だるい陽射しとをいっぺんに感じながら、同じく畳へ倒れ伏した。
(やっちゃった……)
 男が行為の後に感じる独特の罪悪感がムクムクと頭をもたげてくる。
 ほとんどツバキが主導したといってもいいのに、いますぐ土下座でもして謝りたいくらいだった。
 それでも、半裸で精液にまみれるツバキの姿は、ひどく淫猥に欲情を煽ってくる。
(ボクってヤツは……)
 早くも復活しつつある男根に、アゲハは自分が男であることをいままでにないほど感じ、それ以上に情けなくなった。
「……ん……お兄様……わたくし、お口から精子をいただいて……妊娠してしまったかも……」
 ツバキがたっぷりと精液の流し込まれた胃の辺りをさすって、とろんとした目でささやいた。
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