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シニガミは月をみて嗤う
#諸事情で一時UPしてますが、しばらくしたら消します。
#残しといてほしいって人がいれば残しますが…非エロです。

――ちょっと、オマエ、もう少し詰めれないのですか。
――そんなこといったって、無理だよう。ひとり用の転移繭なんだし……。
――まったく、それもこれもオマエが軟弱なのがいけないのです。この借りはかならず十倍で返してもらいます。
――ええっ。ボク、レンちゃんについてきて欲しいなんてひとことも……。
――おだまるのです! 軟弱モノをひとりで異世界に送り込んでは、わたくしの寝覚めが悪いのです。
――レンちゃん、不死者なんだから寝ないんじゃ……。
――む、そろそろみえてきたようなのです。
――ごまかさないでよ。
――フォル、オマエの初仕事、見事成功させてみせなさい。死神として軟弱でないところをわたくしにみせるのです。
――できるかなぁ……ボクに。はぁ……。

***

 その日、レイフォード国辺境アルザック砦は、珍妙なふたりの客を、上空から迎えることになる。
「なんだ……?」
 砦の総司令として赴任したばかりのランドは、たまたま砦の屋上でそれに出くわした。
 青空が突如気味悪く歪んだかと思うと、真っ黒い渦が渦巻いて、バリバリと小さな雷を降らしながら空中になにかを産みだしたのである。
 ランドは腰の剣に手を当てたものの、まだ抜きはしない。紺碧の瞳でそれがなんなのか、しっかり見極めようとしていた。
 渦から産み出された物体は蚕の繭に似ていた。大きさは大人ひとりを包み込めるくらい。ゆっくりと屋上へ羽のように降りてくる。
「うッ!」
 繭が屋上の床に触れたとたん、まばゆい光が輝いて、ランドは腕で目をかばった。
 同時に、ドサッ、と重いものが投げ出されるような音が響き、甲高い声が叫んだ。
「いたたた! もう、これだからいやだったのです。フォル、さっさとどきなさい」
「レンちゃんがボクの上に乗っかってるんだよう」
「――なんだ……お前ら?」
 光が収まって目を向けたランドは呆然と驚く。
 繭が落ちてきたところには、年端もいかない少年と少女が折り重なってもがいていたからだ。
 少女の方は少年よりすこし年上のように思えた。黒いドレスめいた服を着ているが、貴族の子女にもあのような服装をランドはみたことがない。すばらしく整った目鼻立ちをしているものの、異常に青白い肌と金色の瞳は、少女がまともな人間でないことを示していた。
 少年は黒いフード付ローブで全身をすっぽり覆っているようだ。顔はほとんどフードに隠れてしまってみえないが、ローブに飲み込まれてしまっているような体型と、舌足らずな声のおかげで、だいたいの年齢は想像できる。
「あっ。フォル、ほら、人間です!」
 少女がぱっと跳ね起きると、ランドを指差した。
「ひっ」
 少年はしりもちをついた姿勢のまま、固まっている。
 ランドは警戒を解かずに問いかける。
「名乗れ。ここがレイフォードの砦と知っての侵入か?」
「そんなことは知らないのです。知っているのはここでもうすぐ大量の死がばら撒かれるということだけです」
「なんだって?」
「名乗りましょう。わたくしは不死姫(ノーライフ・プリンセス)レニンヴァルド。そして――……ほら、フォル、立つのです」
「う、うう……。いき、生き物……生き物だ……」
 黒ローブの少年の方は、なにやらガタガタと震えている。少女は腰に手を当ててため息を吐いた。
「やっぱり。ダメダメではないですか。オマエはわたくしがいないとどうしようもないです。……――失礼したのです。この黒いのはフォーリング伯爵。これでも強大な力を持つ死神伯爵家の当主なのです」
「死神? お前ら、異界のもんか」
「そうです。わたくしたちは『霊界』より修行に来たのです。正確にはこのフォルの初めてになるお勤め――のはずなのですが」
 レンはちらっとフォルを見やる。もう一度ため息を吐き、
「このように軟弱モノのため、わたくしが転移場所に、死体がたくさんできそうな場所を選んだのです。死に掛けの人間であれば、軟弱でも魂を刈るくらいできるでしょう」
「そ、そうだったの? レンちゃん……」
「少々ズルですが、オマエがまともに人間を刈れるわけがありません。死神のくせに『生き物が怖い』だなんて、どうかしてます」
「だ、だって。生きて、動いてるんだよ? こわいよう」
 少年は縮こまっている。ランドはとりあえず剣の柄から手を離し、
「あー、それはおれたちが、幽霊を怖いっていうのと同じようなもんか?」
「……たぶん。霊界には生き物がいないのです。問題は――そちらの例えに乗るなら、幽霊狩りを生業とする者が幽霊を怖がっているところにあるのです」
「難儀してるのはわかった。だが、おれの砦から死者を出すわけにはいかん」
 いったんは離した柄を握り、あざやかに剣を抜き放つ。刀身が太陽を受け、まばゆく輝いた。
「おれはアイザック砦総司令、レイフォード第四王子ランドルース。お前たちが我々の厄になるというのなら、その芽を摘ませてもらう」
 切っ先を少年と少女に向ける。
 レンが形だけはきれいな瞳でランドを見つめる。
「オマエは勘違いしているのです。わたくしたちがここへ死をもたらすのでありません。もたらされた死のおこぼれを預かりにきたのです。ほら、もうすぐ――」
 次の瞬間、見張り塔の警鐘が激しいいきおいで打ち鳴らされた。
 カンカンカンカンカン
 それは敵襲警報だった。ランドは驚愕する。
「――馬鹿な! 隣国との長期休戦協定の解除まであと二百日もあるんだ」
 信じられぬように叫ぶその目前で、いずこからか飛来した真紅の光が、すさまじい力で見張り塔の中腹に突き刺さった。
 轟音を上げて塔は真っ二つに折れ、崩れていく。積み木のおもちゃを蹴っ飛ばしたかのようだった。
「むむ、これはすごい魔導なのです。こんな土くれの砦などひとたまりもなさそうです」
 感心したようなレンに、ランドは鬼の形相で詰め寄る。
「お前の仲間の仕業か!?」
「わからない人です。わたくしたちはふたりでここに着いたばかり。……そうです、この砦は死神に憑かれたとでも認識してくれればよいのです」
「サイテエじゃねぇか」
「そんなことは知らないのです。ほら、また来ますよ」
 青空の隙間からひねりだされたように、真っ赤な炎の塊がいくつも出現し、砦へと降り注いでくる。
 砦の敷地内の随所で火の手が上がり始めた。兵士たちは混乱し、どこへ向かうべきなのかもわからぬまま右往左往している様子が、屋上からはよく観察できた。
「レ、レンちゃん。あの……ちょっとおかしいんだ」
 うずくまっていたフォルがへっぴり腰で立ち上がり、レンの袖を引いた。
「なにがです? たくさん死んでよいことではないですか」
「ちがうんだ。どうも、その……魂が『霊界』には向かって来てないんだよ。どこか別のところへ吸い込まれてる」
「本当ですか? ……まさか、この魔導――はっ!?」
 そのとき、砦の直上に炎が出現する。まっすぐ屋上めがけて降り注いできた。
「いけません!」
「うおっ!?」
 ランドは顔をかばう。怯んだのではなく、空へと飛び上がるレンの巻き起こした衝撃波を防いだのだ。
 レンと炎が激突すると、雪の結晶のようなものが波状に巻き起こり、あれだけ巨大な炎の塊はまぼろしだったかのごとく消え去った。
 凍てつく水蒸気を撒き散らしたまま、レンは叫ぶ。
「まずいことになりました。わたくしとしたことが場所選びに失敗です。この炎、人間の作り出したものとは魔力が違うのです。敵は間違いなく、『魔界』の者!」
「あ、だから魂が『霊界』へ行かないのか。『魔界』に喰われちゃってるんだ」
 納得してポンと手を打つフォルに、ランドは問う。
「敵は隣国じゃないのか? なぜ魔界がこの砦を襲うんだ」
「――ひ、ひいっ!?」
「……おそれるな。おれはなにもしない。こわくない」
「う、う、うん。たぶんだけど、人間が魔族と契約して、召喚術を使ったんじゃないかな。休戦協定っていってたけど、その協定自体が召喚を準備する隠れ蓑だったかもしれないよ」
「……なるほど。穿った見方だが、そう考えれば協定の不自然な点も説明がつく。フォル、たったこれだけの情報でそこまで推察できるとは、頭がいいんだな」
「そそそ、そんなことないよ。魔族が人間によくやる入れ知恵なんだ。彼らは卑怯な手段が常道だから」
「魔界とは仲が悪いのか?」
「そうだね。魔族は魂を喰らう。魂を循環させて力の源にしている霊界とはライバルなんだ」
「おれも、魔界のことは嫌いになりそうだ」
 ギリッと奥歯を噛みしめて、ランドは砦内を見下ろす。総司令として取るべき指揮すら、どう振るってよいのかみえない状況だった。
「フォル、人間とお話できるようになったのですか?」
 上空から降りてきたレンが目を丸くしている。フォルはフードに覆われた顔をうつむけてしまったので、全身が黒い布の堆積になった。
「……この人、レンちゃん以外ではじめてボクのこと褒めてくれたよ」
「ふむ。オマエ、人間の割にわかっているようですね。こいつは軟弱ですが、やれば出来る子なのです」
「ああ、そうかもな」
「それではフォル、出来る子だということを証明しにいきますよ。弱った人間を刈って刈って刈りまくるのです!」
「待て待て、待ってくれ」
 慌ててランドは止めに入る。
 次の瞬間――。
 空が一変した。青空が突如、うす紫の夕闇へと一挙に沈んだのだ。
 同時にビリビリと空気が振動する。
「む。魔族のおでましなのです」
 ゴオォォォ、と猛獣の咆哮に似た轟音が響き渡る。
 崩れた見張り塔より大きな影が現われていた。
 人型の蜃気楼がゆらめきながら実体を伴っていく。それは禍々しい翼を備え、黒光りの肌をした異形の巨人だった。
『我が名はギギ・ルギル・ギラ。煮え滾(たぎ)る溶岩に浸かる者である。盟約に従いこの地を劫火へ沈めるものなり』
 あまりに圧倒的なその姿をみて、砦内の兵士たちは逃げる気力すら喪っていた。あまりに早い黄昏を迎えた空を、自失してみあげる姿が目立つ。
 ギラが両腕を振り上げると、その背後から無数の小悪魔たちが飛び立った。
 夕暮れのコウモリのように、砦の上空を旋回し、次々と獲物めがけて降下してくる。
 戦意を喪った兵士たちは、悲鳴を上げながら逃げ惑い、やがてするどい一撃を受けて倒れていくだけだった。
「くそっ、どうすれば……!」
 歯噛みをするランドの元へも、小悪魔たちは舞い降りてくる。傍目に小さかったその姿は、ギラの巨体と比較してしまったためで、実際は人間よりも大きな身体をしていた。
「キキィ!」
「ケケッ!」
 耳障りな声を上げて剣状の爪を振りかざし、殺到してくる。
「ちくしょう!」
 抜き身の剣でランドは応戦する。かなりの手だれなのか、太刀が数度閃くたびに、翼や腕を切られた小悪魔が絶叫をあげた。
「ほら、魔族どもに先を越される前に、さっさとお勤めするのです」
 かやの外で我関せずなレンが黒ローブをせっつく。しかしフォルはじっと考え込むようにして動かなかった。
「くっ!」
 油のような小悪魔の体液で足をとられたランドが、わずかに体勢を崩す。
 その首筋へ致命的な一撃を加えようと、背後から一匹が飛び掛った。
「――!!」
 思わずランドが覚悟を決めたとき――。
 バンッ!
 破裂するような音を立てて、小悪魔が文字通り塵となった。
 フォルがローブの隙間から手を出し、その方向を指差している。
 その手が移動して、小悪魔たちを指し示すたび、破裂音が連続して次々と塵芥(ちりあくた)の塊が出来上がっていく。
「フォル……」
「フォル、どうしたのです。魔族を相手にしてもしょうがないです」
「…………」
 眉をひそめるレンに、フォルは応えない。
 ランドは呆然とした。
「お前、強いじゃないか」
「当たり前です。生き物は怖くても、魔族の木っ端どもなぞひとひねりの力を持っているのです」
 なぜかレンが反駁(はんばく)する。
「そうか……」
 ランドはしばし宙をみて、思考した。
 その間も、宵闇を裂く不気味な声が兵士たちの恐怖を煽り立てていく。
『逃げ惑い、恐怖しろ! 我は汝らに死を与える者。百年のちも草木の生えぬよう、すべてを焼き尽くしてくれる。絶望に歪んだ魂を我に捧げるのだ』
 ギラの手が振るわれると、猛火を伴った風が砦の一角を火炎で埋めた。
 断末魔と呪いの声が壁を反響しながら駆け上がっていく。
 突如、決意したようにキッと視線を鋭くしたランドは、屋上の塀に手をかけるとその上によじ登った。
 そして叫ぶ。
「レイフォーンの兵士たちよ、聞け!」
 それはギラの声に負けないほどの大音声だった。
「総司令ランドルースだ! 卑劣極まりない奇襲の中、戦い続ける諸君ほど勇敢な者たちはいない。しかしいまは耐え、生き残り、期を待て! 無駄な戦いは避け、建物内に篭るのだ!」
 塀の上からの指示を聞き、兵士たちの士気はかろうじてのところで持ち直した。
 不利な路上から減っていく人影を確認し、ランドは屋上へ降りる。
 フォルへと歩み寄りながら、
「もしかしてだが、弱った人間よりも、元気で強い人間の方が、修行とかお勤めにはいいんじゃないか?」
「……そ、そうだよ」
「なら、例えばおれの魂の価値はどうだ? レン、お前から見てどう思う」
「たいへんによろしいです。ただでさえ王族の魂は稀少です。くれるのですか?」
「ああ、そのとおりだ。おれの魂をくれてやる。受け取れっ!」
「あっ!?」
 いうが早いか、ランドは自身の剣を逆手に振りかざし、胸板を貫いた。
 ドッと膝を折るランドへ、ローブをひるがえしたフォルが駆け寄る。冗談でそういったレンも驚いて口を開けていた。
「……先払いだ……。あの魔族を、倒してくれ……」
「ランド! ボク、ボクは――」
「……おれには、この方法しか……お前ならきっと願いを聞いてくれると……」
「ボク、ランドとはお友達になれるかもって、その――」
「……なに、お前にはレンがいる……きっといい死神になれるさ……フォル……」
 血反吐を吐いてランドは横倒しに倒れる。
 その身体から魂が抜け出し、フォルたちだけにみえる小さな光の塊として、黒いローブの胸元へ吸い寄せられていった。レンが感心したようにうなずいた。
「ふむ。魂を刈らずに、自分から差し出させるとは。フォルにしか出来ないお勤めです」
「ランド……!」
 フォルはその光を抱きしめるようにして、両手を合わせた。
「うわああああああああ!」
 絶叫してむんずとローブをつかみ、一気に脱ぎ捨てる。
 舞い上がったローブは上空で大きく広がり、広がりに広がって、うす紫の空を真っ黒に塗りこめていった。
『……んむ!?』
 異常に気づいたギラが唸る。
「おやおや。わたくしもひさしぶりにコレをみるのです。いけすかない魔族にはいいお仕置きです」
 屋上で、ひとりレンは愉しげだった。
 脱げたローブの中にいたはずのフォルは、忽然と消えうせていた。
 瞬時に黄昏から闇夜へ変化した空に、ぼんやりと陽炎のような明りが灯る。
 血のように赤い満月だった。
『これは、この闇はいったいなにごとだ! 我が魔力で解けない闇だと?』
 ギラですら、いまや完全に動揺していた。
――イヒ、イヒヒ
――イヒヒヒヒヒ
 どこからともなく、不気味な笑い声が聞こえてくる。
――イヒヒ、ヒヒヒヒヒ
 笑い声は地鳴りを伴ってきた。
 砦の東にある山の端から、ぬっと白く馬鹿でかい物体が姿を現した。
 それは骸骨だった。
 四つん這いになった骸骨が、哄笑を上げながら砦へ這い寄ってくる。
 その姿勢で高さは小山をも越え、立ち上がれば月へ届くのではないかというほどの巨躯だった。
『貴様、死神か!?』
 ギラが火炎を作り出し、骸骨へ浴びせかける。
 砦を火の海に変えたその炎も、骸骨にとってはそよ風程度のものだった。
――イヒヒヒヒヒヒ
――イーーーーーッ!!
 白骨の手が、避ける暇もなくギラをつかみ取った。
『おおおおお、ごおおおおお!』
 手の中でギラはぐずぐずに腐食し、崩れ去っていく。
 最後に残った骨も風に散って、あとには塵ひとつ残らなかった。
 骸骨は月へ咆哮する。
――ロォォォォォォォォン
 水底で撞(つ)いた鐘のような声だった。
「聞いた者に死をもたらす、『死の声』。砦の人間たちには聞かせないであげます。サービスなのです」
 レンは月夜の下で、満足気にしていた。

***

 ランドが目を覚ました時、ベッドの傍にはレンとフォルの姿があった。
「枕元に死神とは、最悪の目覚めだな」
 ぶつくさいいながら起き上がる。何度か手を握ったり開いたりしてから、
「……おれは死んだんだろ?」
 と黒ローブへ訊いた。
 しかしフォルは首を横に振る。レンが困ったように補足した。
「結局オマエの魂は肉体へ戻したのです。ちょっと刈り過ぎたのです」
「は?」
 呆気に取られたランドに、ぼつぼつとフォルが説明した。
いわく、本性を現したフォルのおかげで、砦の周囲にいた敵軍一万人が全滅。いくらなんでも殺しすぎであると、霊界側は戻せる魂は戻すことを決め、フォルが回収していたランドは蘇生された。しかしすでに霊界の輪廻へ入っていた敵軍の大半は戻すことが出来ず、責任を取る形でフォルは追放処分を受けた。
「とにかく行くところがないので、しばらくこの砦にいることにしたのです。なにがやってきてもわたくしとフォルが守るので、オマエは安心するといいのです」
「……そいつぁ、どうも」
 一気に脱力したランドは、再びベッドへ沈み込む。ふとレンへ向け、
「そういや、付き合いのお前まで追放になったのか?」
「まさかです。わたくしは砦の人間を守ったので、逆に褒められたくらいです。ここにいるのは、軟弱モノがひとりだとやっぱり寝覚めが悪いからです。この借りはかならず百倍で返してもらいます」
「えーっ!?」
 悲鳴を上げたフォルに、レンはにやりと微笑んでみせた。
 ランドも苦笑し、なにげなくつぶやく。
「死神に憑かれた砦……ね」
 後にその名が、レイフォードの象徴として人々の口に上るようになろうとは、そのときのランドには思いもかけないことであった。

                            おわり

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