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その祈りには慈悲もなく 一章 第二節
「あ……」
 すい、と司祭の肥満体が離れる。でっぷりとした腹をさすって、彼は喜悦に満ちた笑みを浮かべた。
「答えろ、アンヘリカ」
「ああ……」
 回答など、ひとつしか用意されていない。女たちを目の前で蹂躙されることに耐えられるとは思えなかったし、なにより、保身ゆえに見殺しにしたとなれば、神子に合わせる顔がない。
「わかった……」
「なに? 聞こえんな」
「わかった、と言ったんだ。好きにしろ……」
「ふはっ」
 パン、と掌を打ち合わせて、ボドルザーはどすどすと歩み寄った。股間に垂れ下がったモノが、触れてもいないのに少しずつ大きくなりはじめる。
「どれ、奉仕しやすくしてやろう」
 ジャララ、と擦過音を立てて鎖が滑り降りる。胸の前まで手首が降りてくると、ボドルザーは剣を喉元につきつけた。
「ひざまずけ」
「剣を使わなくても、反抗などしない」
「そうかもしれんが、一応な」
 小さく舌を打って、アンヘリカは緩慢な動作で膝をついた。目の前にボトルザーの男性器が見えて、思わず目を逸らす。
「逸らすな。見ろ」
「く……」
 成人男性の男根を目にするのは、アンヘリカにとってはじめての経験だった。聖教は乱淫でない、清浄な男女の交わりは否定しない。だが、神の座にある神子とそれに侍る聖騎士は別だ。それでなくとも、彼女は同年代の少女が恋に胸を高めている時分、ひたすら剣を振っていたのだ。
 わずかに首をもたげて膨らんでいる男根は、弛んだ皮が先端付近までを包み、尿道口だけがわずかに見えていた。人の皮膚とは思えないほど黒ずんだ皮の内側には、得体の知れないカスのようなものがこびりついている。まだ誰も何もしてないというのに、尿道はわずかに湿っているように見えた。
 ……醜い、としか言いようがない。ほのかに立ち上る湯気も、気色悪さを水増ししているように思える。何か醜悪な悪魔が股間に張り付いているようですらあった。
 立ち上る匂いはボドルザーの体臭によく似ていて、それを何倍も濃くしたような悪臭だった。聖騎士は、胃の中身を全てぶちまけてしまいたい衝動に駆られた。そうして吐き出したモノですら、眼前のこれよりは遥かに清浄だと言い切れる。
「やり方は知っているか」
「知るものか」
「ふん? 聖騎士殿は男女の交わりも知らぬのか。ふほほっ、これは愉快よ」
「……」
「では、私が手ずから指南してやろう。ほれ、何か言うことがあるだろう?」
「なに?」
「教えてください、だ。言ってみろ」
 暗く重かった頭が、一瞬で激情に支配された。この男は、どこまで自分を貶めれば気が済むのか。
「ふざけるな!」
「そうか? 仕方ない、では女を呼ぼう」
「くっ……下種が!」
 吐き捨てるが、彼女に選択肢はない。下からギロリと司祭をにらみつけて、吸い込んだ悪臭を吐き出す気持ちで言い放った。
「要求どおり奉仕してやる。やり方を教えろ」
「……ふっ」
 一瞬、何を言われたのかわからないような顔をして、
「ふほほはははは!」
 司祭は腹を抱えて笑い出した。絶望的な状況にあってなお気丈に振舞う姿に、嗜虐心を刺激されたのだ。
「よかろう、よかろう! それ、まずはくわえろ」
「く……? くわえるのか、これを?」
「それをだ。早くせい。腹が冷えてしまうわ」
「……」
 躊躇するものの、拒否することは許されない。顔を寄せると、剥き出しの陰茎を誇示するように、ボドルザーが体をゆすった。ビクン、と跳ねる男根はそれ自体が別の生き物のようで、いやます嫌悪感に騎士は顔を背けずにはいられなかった。
「なんだ、いやなのか?」
「く……」
 ためらいがちに口を開き、そろそろと顔を近づける。口内から漏れた息が、湯気となって男根を包み込んだ。
「ふほっ」
「んぐ……」
 丸のみするようにくわえこむと、舌先に腐肉と尿を溶かして混ぜ合わせたような、およそ経験したことのない味覚が広がった。同時に、今まで最悪だと思っていた匂いが、数倍の濃度で鼻腔を直撃する。
「よし……舌先で舐めろ。歯は立てるなよ。噛み切ったりしてみろ、女たちを地獄よりも酷い目に遭わせてやる」
「……っ」
 舐めろと言われても、要領がまるでわからない。竿の部分を舌でチロチロとさすってみるが、ボドルザーはわずかに鼻を鳴らしただけで、何も言わない。
「んん、ん……」
 それでも、口内のモノは次第に形を変えていった。舌にあたる感触が硬くなり、口内を占める割合が大きくなる。わけもわからぬまま舌で弄り回していたアンヘリカは、そのおぞましさに眉をしかめた。
「んほぅ……やはり下手だな。まあ、初めてならば仕方ないか。よし、皮に舌をかけて剥いてみせろ。お上品な騎士殿には難しいかな?」
「ん……んく……」
 褒められても嬉しくないが、貶されても面白くない。反応しては負けだ。アンヘリカは黙ったまま、男根を包む皮に舌を這わせた。アンモニア臭が凝縮された尿道から、亀頭にそって皮の先端まで舌先を移動させる。ほんのわずかに司祭の腰が浮いたのは、快感を得たからだろうか。
 自分の舌がこの男の快楽に繋がっていると思うと、男根ごと舌を噛み切って死にたい気持ちになった。しかし、この男は自分が死ねば即座に言ったことを実行に移すだろう――そこに何の意味もなくとも、だ。
 舌に力を入れて皮をめくりあげる。巧くいかなかったが、亀頭をまさぐられる快感に陰茎が膨張し、半ば自動的に黒ずんだ皮が巻き上げられた。
「――!?」
 瞬間、カリの裏側をこすった舌を、苦味と酸味が猛烈な悪臭を伴って蹂躙した。耐え難い、と思っていた匂いが、一挙に数倍に膨れ上がって脳髄までを侵していく。舌先で踊るものが先に見たカスのようなものだと思いあたった途端、男臭が脳髄で弾けるように強くなる。
 舌で擦り取った恥垢が溶けているのだ。
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