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アスティア外伝 past2 トウキ=ラシャ
 ぼんやりと揺れる天井のライトを見上げ、トウキはそのライトのようにぼんやりと考えていた。
 今年で18歳。来年は19歳。育ての親であり、武術の師匠である男の好意で通わせてもらっている高校も、今年で卒業だ。今後の身の振りは自分で考えろと言われていた。と言っても考えられる道は二つ、連邦の暗殺部隊の訓練に入るか、合格した連邦短大へ進むか。
「……お兄ちゃん、また悩んでるんでしょ」
 ベッドに寝転がったまま部屋の戸口を見ると、バスタオルを体に巻いたキリエが、こちらを見ていた。トウキは言った。
「お兄ちゃんってゆーな」
「いいじゃない。似たようなもんなんだから」
 くすくす笑いながら部屋に入ってきたキリエが、ベッドの片隅へ上ってくる。キリエも今年で15歳。その割には発育の良すぎる体が、艶かしく揺れた。血の繋がりはいとこの関係でも、孤児院で居たころからキリエはトウキのことをお兄ちゃんと呼んでいたし、トウキも妹と思っていた。
 それが、こんな関係になったのは、いつからだろう。
「ねぇ……」
 トウキの横に寝転がったキリエが、甘えるような鼻にかかった声を出して、首筋に顔を押し付けた。トウキは体をそちらへ向けると、その唇にキスをする。嬉しそうな、くすぐったそうな表情をして、キリエが身をすくませた。こういう顔を見ていると、もう自分を悩ませている雑多なことなど、どうでもよく思えてくる。これがたぶん、自分の限界なんだろうと、トウキはトウキなりに思っていた。
「愛しているよ、キリエ」
 それが問題だった。正直、短大へ行くか、暗殺部隊へ入るかは、この問題の二の次だった。暗殺部隊へ行けばこのままここへ残り、キリエとの関係もずっとこのままだろう。短大へ行けば寮に入ることになる。おそらく卒業してすぐ戦闘配備につくから、キリエと会うこともほぼなくなる。
「あたしもよ、トウキ」
 それは本当なのだろうか。ただ、お互いの欠けたところを補い合う行為を、愛と勘違いしているだけではないのだろうか。キリエがバスタオルを払いのけ、全裸の足を絡ませてきた。爽やかな石鹸の香りと、甘いキリエ自身の体臭が、トウキの脳を使い物にならなくしていく。
 愛している。少なくとも、この瞬間だけは。この気持ちは本物だ。
 そう信じ込ませ、トウキはキリエを抱きしめると、もう一度キスをした。ついこの前まで少女の固さを残していた身体は、もう十分に大人のラインと柔らかさを身に着けていた。乳房をこね回すように揉むと、キリエは重ねられた唇の下から、熱い吐息を漏らした。トウキは身体を起こすと、言った。
「……まったく、師匠にばれたらどうするんだ」
「だってぇ……」
 すでにキリエの目はうっとりと半開きになっている。少しキリエには多淫症の気があるんじゃないかと、トウキは最近考えていた。3日と空けずにやってきては、こういう風にトウキを求めてくる。その理由はがまんできないかららしいが、正直ちょっと将来を危ぶまずにはいられない。
「ね、トウキのもちょうだい」
 キリエは言うと、身体を反転させてトウキの股間に顔を当てた。寝巻きのジャージをずらし、猛っているモノを愛しそうに撫で回す。トウキは股間から熱いものがこみ上げて、大きく息をつくと身体をベッドに預けた。
キリエもトウキも、お互いがお互いの急所を知り尽くしていた。キリエがイチモツを口に含み、吸い上げながら大きくグラインドさせる。相手に快楽を与えるためだけの動き。トウキは欲望を抑えきれず、目の前に開かれたキリエの股の間に顔を埋め、その花弁を舐め上げた。
クリトリスに少し歯を当てるようにしながら転がしていくと、堪らなくなったキリエがトウキのモノに奉仕することも忘れて、口に含んだまま息を荒げる。思い出したようにまた吸い上げるが、トウキが蜜壺に指を入れると、その動きは止まってしまった。
「あ、やぁ、ダメ……」
 やがて急に背を反らしたキリエが、大きく呼吸しながら短く言った。絶頂が近いようだ。トウキは指と舌の動きを早め、それから逃げるように動く腰をしっかりと抱きすくめた。キリエの動きが痙攣に近いものになってくる。
「ああ、あ!ぐっ、う、うう……!」
 声を出さないようにシーツを噛み締めたキリエが、絶頂の衝撃に身体を震わせた。どろっと濃い蜜が掻き回された蜜壺の中から溢れ、滴っていく。トウキは身体を起こすと、すぐにキリエに覆いかぶさった。勘で腰の位置を定め、キリエの中へ挿入していく。
「え、あ、やぁ……」
 絶頂を迎えた直後だと言うのに挿入され、キリエの身体がびくっと跳ねた。やめて、と言いたげに手でトウキの身体を押し戻そうとするが、その力は拒否には程遠く弱い。腰を突き入れると、キリエは大声を上げそうになって、慌ててシーツを口元へ当てた。
「声、出さないようにな」
「あ」
 思い出したようにキリエがシーツを口元からどけた。動きを止めたトウキに、にっこり笑う。
「忘れてた。今日師匠、出張で帰ってこないんだって」
「……本当に?」
「うん。だから2人っきりだよ」
 いたずらっぽく笑う瞳に、トウキは苦笑を向けた。
「じゃあ思いっきり声だしちゃうか」
 言うと、トウキは奥まで届くようにイチモツを叩きつけた。キリエがその感覚に耐えかね、トウキに抱きつく。
「あはっ、あっ、嬉しい……!」
 足を上げさせ、それをトウキは肩に乗せた。こうすると腰を動かすたびに一番奥まで届く上、キリエの弱い膣上部のGスポットにも刺激を与えることが出来る。案の定、すぐキリエは甘い嬌声を上げ、再度の絶頂を迎えた。
「ああ、ああ、イク、イ……っ!!」
 ぎゅっと膣が絞られ、思わず達しそうになったトウキは動きを止め、それが落ち着くのを待った。そのせいで、キリエは十分に絶頂の感覚を味わうことができなかったらしい。ひくひくと膣が痙攣しているのが分かる。もどかしそうにトウキを見上げ、言った。
「もっとぉ……お兄ちゃん……」
「だから、お兄ちゃんってゆーなと」
 トウキは再び苦笑した。キリエが靄のかかった表情のまま、笑った。
「いいじゃない。2人っきりの時はそう呼ばせてよ……」
 お兄ちゃん。何故かトウキには、その言葉に潜在的な拒否感があった。それは最近――キリエと身体を重ねるようになってから感じ始めたこと。特にこういう時に呼ばれるのは、ふと冷静な自分に返ってしまうような、どこか仄かな悲しみと違和感があった。
 背徳感からそう感じるのかと思ったが、トウキにそんな思いは無い。キリエにも無いだろう。むしろキリエは、積極的にトウキを兄と呼ぶことで、なんらかの満足を得ているようだった。ふと気になり、トウキは訊いた。
「なあ、なんでお前はおれのことを、お兄ちゃんって呼ぶんだ?」
「え?昔っから呼んでるじゃない」
「そうじゃなくて……いや、いい」
 何を訊きたいか、訊いてどうするのか分からなくなって、トウキは首を振った。キリエは何気ない調子で答えた。
「トウキにはお兄ちゃんになってもらいたいの。家族も誰も居なくって、肉親なんてトウキだけなんだから。だってそうでしょ?」
 そうか。トウキは愕然として考え込んだ。どうしてこれに気付かなかったんだ。自分も、キリエも同じだった。ただ、捕らえ方が違っただけだ。キリエは肉親としてのトウキを求め、トウキは女性としてのキリエを求めていた。2人とも、己に足りない家族と言う概念を補うために、快楽を貪っていたのではないか。
 トウキはキリエの目を見つめた。急に真剣になったトウキの表情に、少し驚いているようだった。何か気に障ることでも言ったのかと思っているに違いない。
「……どうしたの?」
 トウキは首を振った。
「なんでもない。それより、続き続き」
「あン」
 これで、最後だ。トウキはその決心を胸に、きつくキリエを抱きしめた。連邦短大へ行こう。もうキリエを使って、自分の傷を埋めるのは終わりだ。だから、最後の一夜は、存分に、心行くまで――。
 キリエの嬌声は、部屋から溢れて廊下まで聞こえ、それは深夜になっても続いていた。



「トウキ=ラシャ君」
 短大への入学願書を提出したトウキに、何者かが声をかけた。どこか通常人とは違うその雰囲気に、トウキは身体に力を送りつつ、振り返った。
「君に少し話がある。私はこういうものだ。警戒しないでくれたまえ」
 振り返った先に居た黒服に黒帽子をかぶったあからさまに怪しい人物は、そう言って胸ポケットから名刺を取り出した。受け取り、それに目を走らせて、トウキは驚いた。
「連邦……評議会?そのエージェントが、おれに何の用ですか」
「来てくれるかね?」
 どことなく、予感のようなものがあった。トウキは話だけなら、とうなずいた。男もうなずき返し、近くに止まった黒いリムジンを指し示した。
「正確には、連邦評議会最高会議室からの勅命だ。……と言っても、一般の人間には最高会議室の存在も知らんがね。さあ、乗りたまえ」
「……気が変わりました。おれに何の用か、はっきり教えてください」
 立ち止まったトウキに、男が顔を近付けた。ぎらりと光る深い瞳は、やり手エージェントのものだ。男は聞こえるか聞こえないかの声でささやいた。
「タケミカヅチ・プロジェクトに君の力が必要なのだ。君は、君の中には――」
「――なんです、か」
「続きを聞きたければ、さあ、乗るがいい」
 男はにやりと笑うと、開けられたドアを示した。トウキはしばしの逡巡ののち、足を向けた。悲しみのぜんまいは、この瞬間から巻かれ始めた。
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