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朱ノ青 その8
 翌日。
 廊下で正面からばったり出くわしたアゲハとツバキは、同時に顔を真っ赤にすると、あわてて道を譲った。
 しかしその方向がまったく同じだったので、再び真正面から向き合うことになる。
 次に避けた方向も同じ。
 では相手に避けてもらおうと動くのをやめると、双方とも同じ考えで向かい合ったまま立ち止まってしまう。
 こういうところは息の合った双子だった。
「……あの、昨日は……その、ごめん」
 いたたまれなくなって、アゲハは小さく詫びた。
「……いえ、わたくしの方こそ……おかしな気分になってしまって……あ、アゲハさんと、あんなこと……」
 思い出したのか、ツバキの顔はゆでだこのようになってしまう。
「いや、ボクが悪いんだよ。変な気持ちになっちゃったから……」
「あの、もしかすると、ユキさんにもらった飴玉が原因じゃないかと思うのですが……」
「あ、ボクもそれ思ったよ。だいたいお八つなんかわざわざ手渡ししなくていいんだよね」
「そうですよね。変です……よね。でも……いいきっかけになったかも……」
「え?」
「い、いえ。なんでもございません。そろそろ失礼しますわ。玄関先のお掃除を言付かっておりますの」
「あ、うん。がんばって」
 ことさらよそよそしくツバキは会釈し、脇を抜けていった。
 ふわりといい匂いが鼻先をくすぐって、アゲハの胸にムラっとしたものが湧き上がる。
(ううう、どうしちゃったんだろう……)
 去っていく後姿を見ながら、無意識に妄想してしまう。
 いますぐにでも追いかけて、後ろから抱きすくめて、獣のように犯してしまいたい。
 もちろん精液は一滴のこらず子宮へ注ぎ込むのだ。
 膣いっぱいに男根を詰め込んで、子宮の入り口に蓋をするみたいに射精すれば、いっぱつで妊娠することだろう。
 真っ昼間から卑猥な妄想に囚われたアゲハは、ふらふらとツバキの後を追って歩き始めた。
 玄関先へ到着してもツバキの姿は見えなかった。
 そのころには、なんで自分がこんなところに突っ立っているのか、アゲハ自身にもわからなくなっている。
「……アゲハさん」
「わあっ!」
 横合いから声をかけられて、アゲハは派手に驚いてしまった。
「ご、ごめんなさい。驚かせてしまいました」
 箒と桶を持ったツバキがいた。掃除道具の仕舞ってある物置に入っていたらしい。
「いや、ボクこそぼーっとしちゃってて。あ、手伝おうか?」
「いえ、すこし掃いて拭けばおしまいですから。それより、昨日の飴玉のこと、ユキさんに問いただしていただけませんか? ……その、わたくしたちのことは、もちろん伏せて」
「う、うん。さすがにいわないよ」
 ふたりしてまた思い出し、沈黙してしまう。
 しばらくしてツバキがいった。
「……あ、あの、すごくぶしつけな質問をしてもよろしいですか?」
「え? ボクに答えられるものなら……」
「その……ユキさんとは、その、よく交わっておいでなのですか?」
「う、うん。……ほとんど毎日……三日と空いたことはないんじゃないかな……」
「じゃあその……避妊と申しますか……赤ちゃんが出来たりは……。わ、わたくしが見たときも、特にその、気をつけていらっしゃるように感じませんでしたので」
「ああ、それなら……」
 アゲハはすこし暗い顔をする。
「……ユキさん、子供を産める身体じゃないんだ。『月のもの』ってのが、ぜんぜんないんだって」
「……薬のせい、ですか」
「理由までは聞いたことないけどね。この話はあまりしない方がいいよ。ユキさん、子供が出来ないことを本当に苦にしてるみたいだから」
「はい。軽率でした」
「本人に訊ねる前に訊いてくれてよかったよ。ぜったい、機嫌悪くなるし」
「そうですね。じゃあもし、わたくしとお兄様が交わったら、赤ちゃんが出来てしまうということですか」
「え!?」
「あっ! ななな、なんでもないんです。あの、そろそろお掃除をしないと」
「う、うん。ボク行くよ」
 逃げるようにアゲハはその場を離れた。
 ツバキを妊娠させてやりたいなんて妄想をいだいてしまっていた後だけに、妙に心臓がドキドキする。
 ユキを探して庫裏の中をうろうろする。ひっつめ髪の色っぽい姿は裏庭で見つかった。
 物干し竿に洗濯物を干しているユキに、アゲハは声をかける。
「ユキさん、ちょっといい?」
「よくない。手伝え」
「今日はボク、食事当番じゃないか。それより昨日くれた飴玉、どこでもらったものなの?」
 このあたりで取れるもの以外は、すべて本殿からの仕送りや村の捧げ物である。
 食料が届けば、アゲハは特にお菓子の類を入念に調べるので、たいてい記憶にあるのだ。
 それでも飴玉二個くらいは見逃しても不思議はないが。
「菓子鉢の中にあったのを渡しただけだぞ。どうした、なにかあったのか?」
「え、いや……なんにもないけど」
「飴玉で腹を壊したわけじゃあるまい。ほら、これ」
 洗濯物を渡され、結局アゲハは手伝うことになってしまう。
 ほとんど干し終わっていたので、すぐに作業は終わって、ふたりでユキの部屋で涼を取ることになった。
 庫裏の裏手には氷室まである。冬場の雪を集めておいて、生物を保存したり、氷を食べたりするのだ。元はユキの治療に必要なものを保管するためだったらしい。
「じゃあツバキちゃんも呼んできて、かき氷にしようか」
「……やっぱり気が変わった」
 立ち上がろうとした中腰の姿勢で帯を引っ張られ、アゲハは後ろざまに倒れてしまう。
 それをユキが畳みに座ったまま抱きとめた。
「え? 氷いらないの?」
「ああ。氷よりお前がいい」
「へ?」
「昨日、相手してくれなかったよな、アゲハ。……お昼にツバキとイチャついたせいか?」
「ふぇっ!?」
「ふふふ。図星か。悪い子だなぁ、アゲハは。あいつは妹だぞ」
 そんなことをいいながらも、ユキはひどく機嫌よさ気にアゲハの頭を撫でた。
 アゲハは真っ赤になったまま、もごもごといいわけする。
「だって、なんだかふたりとも変な気持ちになっちゃって。あの飴玉のせいかと思って、さっきあんなことを訊いたんだよ」
 ユキはそれには答えず、
「どこまでいったんだ。このたくましいチンポで愛してやったのか?」
「あんっ、ダメだよぉ」
 背中から抱きしめたユキが腕を回し、裾を割って股間へ手をもぐりこませる。もう片手は胸元から侵入した。
「したのか? このチンポで処女膜を引き裂いてやったのか?」
「し、してないから。流されちゃったのは本当だけど、そこまではしてないよ」
「なんだ、つまんないヤツ。男ならズボズボに犯してやって、一番奥でどっぷり射精してやれよ。いつも私にしてるみたいに、子宮の中を精液で満杯にしてしまうんだ」
「そんなことしたら、ツバキちゃんが妊娠しちゃう……」
 妊娠。
 ツバキが妊娠……。
「お? どうした、一気に硬くなったぞ、ここ」
 うれしそうにいったユキが、裾の中に納まりきらなくなったものをごそごそと取り出してこすり上げる。
「あうっ……うぅ……だ、ダメだって……」
「妊娠させたいのか、アゲハ? 自分の妹に種付けしたくって、おチンチン硬くしちゃってるのか? うふふっ」
「そ、そんなことない……」
 だが、それを想像するたびに血が熱くなるような興奮を覚えるのも事実だった。
 いままで相手を妊娠させることなど、なんの興味もなかったのだ。
 ユキの身体のせいではない。逆に避妊を考えないでいい分、めんどうがないとすら思っていた。
 それがツバキだと……。
 けっして妊娠させては、いや本当なら交接してもいけない相手だとわかっているのに、ことのほかかき立てられるのだ。
 ユキがいつも子宮の中へ出せと、しつこく精液をねだる気持ちがわかった気がした。
 ユキは妊娠したい願望がある。だから精液を子宮にもらって興奮する。
 いまのアゲハにも妊娠させたい願望があるから、種付けすることを考えるだけでこんなにも興奮するのだ。
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