ガラッと湯殿の戸が開いた。
「ふたりともまだ入ってたの?」
戸口であきれたように林檎が言った。
いまは片眼鏡もはずし、いつもくくり上げている髪もおろしている。
隆起に富んだ風呂桶の中のふたりに比べると、林檎はずいぶん平坦な身体つきだ。研究に没頭しすぎて食事も摂り忘れることが多く、手首や足首はひねったら折れそうなほど細い。そのかわり腕も足もすらりと長く、小顔で、最近流行の男装歌劇団のような凛々しい美しさがあった。林檎はあまり外へ出ないから周囲の評価を蜜柑も知らないが、きっと寄り合いの小娘連中は目の色を変えるだろう。男っぽいわけではないが、一般の女らしさとはまた違った、不可思議な魅力があるのだ。
「大姉さんだけかと思ったじゃない」
「あたしがいちゃーだめ?」
邪魔者のような言い方に蜜柑は口をとがらせる。林檎は表情の変化に乏しい顔つきのまま肩をすくめると、戸を閉めて中へ入ってきた。
「三人も無理だよ」
「蜜柑先に出て」
「えーっ」
「大姉さんに試作品の協力してもらうの」
「ちょ、ちょっとなにそれ」
林檎が持って入った手桶に詰まれた物体を見て、蜜柑は目を剥いた。
手桶にてんこもりにされたのは、張り型やら液体入りの瓶やら、すごい量だったからだ。蜜柑の言わんとすることを察した林檎が、くちびるの端を上げる。
「あなたと違って大姉さんなら、このくらい軽いのよ」
いかにも自分の方が親密な口ぶりだ。
変にプライドの高い林檎はなにも言わないが、蜜柑と同じように母性を杏子へ感じているのは間違いない。だからどっちが好かれているか妹ふたりでいつも競争みたいになっているのだった。おっとりとした杏子はそんなことに気づきもせず、わけへだてなく相手をしているからなおさらである。
「むむむ……」
「それにお子様のあなたには、ちょっと今回のはキツイの。それともやってみる?」
「や――やってやろうじゃない」
「そう? お尻用のなんだけど」
「…………」
勢い込んで立ち上がった蜜柑は、再び風呂桶へ座った。
林檎はふっと小ばかにして、
「大姉さん、上がって」
「はいはい」
杏子が洗い場へ出る。湯量の減った風呂桶に鼻まで沈んで、蜜柑はブクブクと気泡を吐いた。
「どうしたらいいのかしら」
「四つん這いになってちょうだい。……そう。まずは綺麗になってるかたしかめてあげる」
ひざと両手をついた姿勢で犬の姿勢を取った杏子の尻をつかみ、林檎は押し広げるようにしながら菊花へ伸ばした舌を当てた。
「あン」
林檎の舌に菊のしわを舐められた瞬間、ピクリと杏子は反応した。
たっぷり唾液を舌先へ絡め、林檎がそれをすぼめて菊花の中心へ差し入れていく。
口を大きく広げて尻の谷間を食べるようにしながら、林檎は舌の付け根まで、できるだけ奥まで差し込んだ。
「はっ……はっ……」
四つん這いのまま、杏子は甘い表情で息を火照らせ始める。長い髪が背中から首筋までを覆って、肌へ色っぽい縞模様を作っていた。
くちゅくちゅくちゅ……
林檎は真っ白な餅のような尻へ顔を押し付けて、菊花の内部を舌でまさぐっている。
上下左右に円を描き、それから前後に出し入れする動きにつられて、杏子の口からは小さな喘ぎが漏れていた。
充分な時間をかけて菊花を味わうと、林檎は顔を離して口元をぬぐった。
「ん、綺麗になってる」
手桶の中から液体入りの瓶と張り型を取り出し、それを見せ付けるようにペロリと舐めてから、蜜柑へ不敵に笑いかけた。
「大姉さんはねえ、最近お尻の穴がとっても感じるのよ。知らなかったでしょう」
「…………」
「これはお尻専用の張り型。お尻でも気持ちよくなれるように、普通よりも細くて段をつけてあるの」
丸い玉を連結させてあるような形の張り型だった。普通より細いと言っても、蜜柑の親指よりひとまわりは大きい。
林檎は尻用張り型に瓶の液体をゆっくりと垂らし、塗りつけていく。それは通和散と呼ばれる潤滑剤で、濡れやすい蜜柑には用のないものだが、渇き気味の女子は使用することもある。陰間にとっても必需の品だそうで、本来愛液の沸くことのない尻での性交をするには、なくてはならないものと言えた。
ぬらぬらと照り光り始めた張り型を菊花のつぼみへ当て、林檎はささやく。
「大姉さん、いい?」
「ええ。――ああン!」
張り型のさきっぽが差し込まれるや、杏子はのどを反らして嬌声を上げた。
蜜柑はびっくりして杏子の顔をのぞきこむ。
ずぶずぶと張り型が菊の穴へ沈むたび、苦痛と快楽が入り混じったような悩ましい表情で杏子は喘ぐ。
林檎が末端までを尻へ埋めきって、得意げに蜜柑を見やった。
「こんなよがりかたをする大姉さん、見たことないでしょう」
「う――うん」
「私も最初はおどろいたのよ。これをね、こうして、こうすると――」
張り型を一気に引き抜き、抜けきるところで寸止めして、再び根元まで突き入れる。
「ひゃうっ!? あンン!」
「とっても気持ちいいんですって。見てて、蜜柑。すぐにイっちゃうから」
林檎は張り型の出し入れを開始する。
ちゅぶっ、じゅっ、じゅぷっ
通和散のぬめりが菊花の摩擦で音を立てる。出たり入ったりする律動が何度目かの時点で杏子の腕から力が抜け、尻だけ高くかかげた格好で倒れ伏してしまった。その間も絶え間なく淫らな喘ぎ声が口元から流れている。
「すごい……」
我知らず蜜柑は自分の胸を揉み、女陰へ手を当てていた。
普通じゃない場所でこれだけ気持ちよさそうにしている倒錯感が、熱い昂奮を呼び起こしてくる。
「ふたりともまだ入ってたの?」
戸口であきれたように林檎が言った。
いまは片眼鏡もはずし、いつもくくり上げている髪もおろしている。
隆起に富んだ風呂桶の中のふたりに比べると、林檎はずいぶん平坦な身体つきだ。研究に没頭しすぎて食事も摂り忘れることが多く、手首や足首はひねったら折れそうなほど細い。そのかわり腕も足もすらりと長く、小顔で、最近流行の男装歌劇団のような凛々しい美しさがあった。林檎はあまり外へ出ないから周囲の評価を蜜柑も知らないが、きっと寄り合いの小娘連中は目の色を変えるだろう。男っぽいわけではないが、一般の女らしさとはまた違った、不可思議な魅力があるのだ。
「大姉さんだけかと思ったじゃない」
「あたしがいちゃーだめ?」
邪魔者のような言い方に蜜柑は口をとがらせる。林檎は表情の変化に乏しい顔つきのまま肩をすくめると、戸を閉めて中へ入ってきた。
「三人も無理だよ」
「蜜柑先に出て」
「えーっ」
「大姉さんに試作品の協力してもらうの」
「ちょ、ちょっとなにそれ」
林檎が持って入った手桶に詰まれた物体を見て、蜜柑は目を剥いた。
手桶にてんこもりにされたのは、張り型やら液体入りの瓶やら、すごい量だったからだ。蜜柑の言わんとすることを察した林檎が、くちびるの端を上げる。
「あなたと違って大姉さんなら、このくらい軽いのよ」
いかにも自分の方が親密な口ぶりだ。
変にプライドの高い林檎はなにも言わないが、蜜柑と同じように母性を杏子へ感じているのは間違いない。だからどっちが好かれているか妹ふたりでいつも競争みたいになっているのだった。おっとりとした杏子はそんなことに気づきもせず、わけへだてなく相手をしているからなおさらである。
「むむむ……」
「それにお子様のあなたには、ちょっと今回のはキツイの。それともやってみる?」
「や――やってやろうじゃない」
「そう? お尻用のなんだけど」
「…………」
勢い込んで立ち上がった蜜柑は、再び風呂桶へ座った。
林檎はふっと小ばかにして、
「大姉さん、上がって」
「はいはい」
杏子が洗い場へ出る。湯量の減った風呂桶に鼻まで沈んで、蜜柑はブクブクと気泡を吐いた。
「どうしたらいいのかしら」
「四つん這いになってちょうだい。……そう。まずは綺麗になってるかたしかめてあげる」
ひざと両手をついた姿勢で犬の姿勢を取った杏子の尻をつかみ、林檎は押し広げるようにしながら菊花へ伸ばした舌を当てた。
「あン」
林檎の舌に菊のしわを舐められた瞬間、ピクリと杏子は反応した。
たっぷり唾液を舌先へ絡め、林檎がそれをすぼめて菊花の中心へ差し入れていく。
口を大きく広げて尻の谷間を食べるようにしながら、林檎は舌の付け根まで、できるだけ奥まで差し込んだ。
「はっ……はっ……」
四つん這いのまま、杏子は甘い表情で息を火照らせ始める。長い髪が背中から首筋までを覆って、肌へ色っぽい縞模様を作っていた。
くちゅくちゅくちゅ……
林檎は真っ白な餅のような尻へ顔を押し付けて、菊花の内部を舌でまさぐっている。
上下左右に円を描き、それから前後に出し入れする動きにつられて、杏子の口からは小さな喘ぎが漏れていた。
充分な時間をかけて菊花を味わうと、林檎は顔を離して口元をぬぐった。
「ん、綺麗になってる」
手桶の中から液体入りの瓶と張り型を取り出し、それを見せ付けるようにペロリと舐めてから、蜜柑へ不敵に笑いかけた。
「大姉さんはねえ、最近お尻の穴がとっても感じるのよ。知らなかったでしょう」
「…………」
「これはお尻専用の張り型。お尻でも気持ちよくなれるように、普通よりも細くて段をつけてあるの」
丸い玉を連結させてあるような形の張り型だった。普通より細いと言っても、蜜柑の親指よりひとまわりは大きい。
林檎は尻用張り型に瓶の液体をゆっくりと垂らし、塗りつけていく。それは通和散と呼ばれる潤滑剤で、濡れやすい蜜柑には用のないものだが、渇き気味の女子は使用することもある。陰間にとっても必需の品だそうで、本来愛液の沸くことのない尻での性交をするには、なくてはならないものと言えた。
ぬらぬらと照り光り始めた張り型を菊花のつぼみへ当て、林檎はささやく。
「大姉さん、いい?」
「ええ。――ああン!」
張り型のさきっぽが差し込まれるや、杏子はのどを反らして嬌声を上げた。
蜜柑はびっくりして杏子の顔をのぞきこむ。
ずぶずぶと張り型が菊の穴へ沈むたび、苦痛と快楽が入り混じったような悩ましい表情で杏子は喘ぐ。
林檎が末端までを尻へ埋めきって、得意げに蜜柑を見やった。
「こんなよがりかたをする大姉さん、見たことないでしょう」
「う――うん」
「私も最初はおどろいたのよ。これをね、こうして、こうすると――」
張り型を一気に引き抜き、抜けきるところで寸止めして、再び根元まで突き入れる。
「ひゃうっ!? あンン!」
「とっても気持ちいいんですって。見てて、蜜柑。すぐにイっちゃうから」
林檎は張り型の出し入れを開始する。
ちゅぶっ、じゅっ、じゅぷっ
通和散のぬめりが菊花の摩擦で音を立てる。出たり入ったりする律動が何度目かの時点で杏子の腕から力が抜け、尻だけ高くかかげた格好で倒れ伏してしまった。その間も絶え間なく淫らな喘ぎ声が口元から流れている。
「すごい……」
我知らず蜜柑は自分の胸を揉み、女陰へ手を当てていた。
普通じゃない場所でこれだけ気持ちよさそうにしている倒錯感が、熱い昂奮を呼び起こしてくる。
| ホーム |